「また怒ってしまった」と泣きたくなる夜に

〜子どもを思う不安と、少しずつ距離を取ること〜

また怒ってしまった、と自分を責める夜に

「勉強しなくていいの?」

「早くやった方がいいんじゃない?」

「どうして何度言ってもやらないの?」

本当は、責めたいわけではない。

もっと穏やかに話したい。

仲良く過ごしたい。

それなのに、ついきつい言葉になってしまう。

夜になって子どもの寝顔を見るとき、胸がぎゅっと痛くなる。

「また怒ってしまった」

「私はどうしてこうなんだろう」

「こんなお母さんでいたいわけじゃないのに」

子どもを大切に思っているからこそ、うまくできない自分がつらくなる。

その苦しさは、本当に深いものだと思います。

怒りの奥にあるもの

子どもに強く言ってしまうとき、その奥には怒りだけがあるわけではありません。

「このままで大丈夫かな」

「将来、困らないかな」

「傷つく前に、何とかしてあげたい」

そんな不安が、心の中で大きくなっていることがあります。

子どもが大切だからこそ、見ているだけではいられなくなる。

だからつい、先回りしてしまう。

口を出してしまう。

それは、愛がないからではありません。

大切に思っているからこそ、不安が大きくなってしまうのです。

ただ、「この子のため」と思いながらも、実は自分の中の不安を落ち着かせたい気持ちが混ざっていることもあります。

子どもが失敗するのを見るのが怖い。

自分の育て方が間違っていたように感じてしまう。

親としての無力さが苦しい。

そうした気持ちは、言葉になる前に 「ちゃんとしなさい」「どうしてできないの」 という形で出てしまうことがあるのです。

見守ることは、何もしないことではない

「見守りましょう」という言葉は、とても簡単に聞こえます。

でも実際には、見守ることほど難しいものはないかもしれません。

手を出せば、不安が少し落ち着く。

先回りすれば、失敗を防げる気がする。

でも、あえて動かずに待つとは、自分の中に湧いてくる不安を抱えながら、子どものそばにいるということです。

子どもが遠回りするかもしれない。

失敗するかもしれない。

傷つくかもしれない。

それでも、子ども自身が感じて、考えて、選ぶ時間を奪わずにそばにいる。

見守るとは、子どもの人生を、少しずつ子どものものとして返していくことなのだと思います。

「子どもの課題」と「自分の不安」を少し分けてみる

ここで大切になるのが、「境界線」という考え方です。

突き放すためではありません。

子どもの課題と、自分の不安を、少し分けて見ていくためのものです。

子どもが感じること、選ぶこと、失敗から学ぶこと。

それは子どもの中で起きていくことです。

一方で、それを見ている自分が不安になること、怖くなること。

これは、自分の中で起きていることです。

この二つが混ざると、「この子のため」と思いながら、本当は自分の不安を落ち着かせるために動いてしまうことがあります。

だからまず、こう見てみることからでいいと思います。

「これは、この子が経験していくこと」

「これは、それを見ている私の不安」

すぐに分けられなくても大丈夫です。

何度も混ざりながら、少しずつ気づいていければ、それでいいのです。

手放せないほど、大切に思ってきた

頭ではわかっていても、子どものことになると簡単には手放せません。

また口を出してしまった。

また感情的になってしまった。

そしてまた、「私は全然変われていない」と自分にがっかりする。

でも、それだけ簡単に手放せないのは、それだけ大切に思ってきたからです。

傷つかないように。

困らないように。

幸せになれるように。

そう願ってきたからこそ、不安も大きくなる。

だから、手放せない自分を責める前に、その奥にある気持ちを少し見てあげてほしいのです。

「私は、それだけ心配だったんだな」

「怖かったんだな」

「どうにか守りたかったんだな」

そう気づくことから、少しずつ心は変わり始めます。

少しずつ、変わっていける

変化は、ある日突然、大きく起こるものではありません。

カウンセリングの中でも、最初は「どうしても口を出してしまう」と苦しんでいた方が、少しずつ自分の不安に気づいていく中で、ある日ふと気づかれることがあります。

以前ならすぐに口を出していた場面で、少しだけ待てた。

「これは、この子が経験していくことなんだな」と、ほんの少し離れて見られた。

小さなことかもしれません。

でも、その小さな一歩が、子どもとの関係にも、自分自身との関係にも、静かに広がっていくのです。

一人で抱えるのが苦しいときは

子どもへの不安は、一人で抱えるには大きすぎることがあります。

愛しているからこそ、苦しくなる。

守りたいからこそ、感情的になってしまう。

そして、そんな自分を責めてしまう。

うまく話せなくても大丈夫です。

「また怒ってしまった」

「本当はもっと優しくしたい」

「どうしたらいいかわからない」

そんなところからで、十分です。

必要なタイミングで、そっとお話を聞かせてくださいね。

子どもを変えようとする前に、まずは自分の心に目を向けてみる。

「私は今、何が不安なんだろう」

「何をそんなに怖がっているんだろう」

その積み重ねの中で、子どもを変えようとする力が、少しずつ「見守る力」へ変わっていきます。

また怒ってしまう日も、自己嫌悪で苦しくなる夜も、きっとまだあると思います。

それでも、そのたびに少しずつ自分の不安に気づいていけたなら、それで十分です。

あなたはもう、十分に頑張ってきました。