ただ一緒にいる、という静かな贈りもの
なにもできない時間に感じる、もどかしさ
大切な人のために、なにかしてあげたい。
そう思うほど、心がきゅっと苦しくなってしまうことがあります。
かける言葉を探しても、見つからない。
どうしたらいいか、分からない。
そんな中で、「なにもできない自分」を無力に感じて、もどかしさに包まれる。
そのような時間を、過ごしたことはありませんか。
ただ隣にいる、という雨やどり
セッションの中で、こんなお話を伺うことがあります。
ご家族のつらそうな姿を前にして、
「元気になってほしい」
「なんとかしてあげたい」
そう願っても、なにもできずにいる。
それでも、ただ隣に座って、その静かな時間を一緒に過ごしていたら、 少しずつ、相手の表情や空気が柔らかく変わっていった、というお話です。

また別の場面では、これまでずっと飲み込んできた気持ちを、ふと、自然な形で言葉にできたという変化もありました。
こうした変化は、なにか特別な魔法を使ったから起きたというよりも、関わり方が少しずつ「ほどけて」いく中で、自然に現れてくるもののように感じます。
無理に変えようとしない時間の中で
人は、だれかに解決しようとされたり、無理に変えられそうになったりすると、無意識に心をぎゅっと閉じてしまうことがあります。
でも、「そのままでいていいんだよ」という体温を感じられたとき、心は安心して、少しずつ緩みはじめます。
言葉にできなかった想いや、整理のつかないモヤモヤが、そのままそこにあってもいい。
そう感じられるとき、心は静かに、自分の力で整い始めるのです。
こころの器を、ゆっくり温める
カウンセリングの時間では、なにかを教えたり、無理に前を向かせたりすることはありません。
ただ安心していられる場所で、ありのままを丸ごと受け止めてもらえる感覚を、一番大切にしています。
そのような時間を重ねていく中で、すり減っていた心の土台が、少しずつ、少しずつ満たされていきます。
傷つき、ひび割れていた「こころの器」も、ゆっくりと、継ぎ合わされるように修復されていく。

そうすると、自分の本当の気持ちに気づけるようになったり、感じていることを、そのまま「そうだよね」と受け止められるようになっていくのです。
もともと持っていた、あなたの光
こうした変化は、なにか新しい自分に生まれ変わったというよりも、もともとあなたの中にあった「光」が、再び顔を出してくれた、と言ったほうが近いのかもしれません。
これまでの経験の中で、感じないように蓋をしてきたものや、押し殺してきた気持ち。
それが、安心できる「港」のような時間の中で、少しずつ、本来の場所へ戻ってきているのだと思います。
「なにもできない時間」は、止まっている時間ではない
もし今、「なにもできない」と立ち止まっている時間があったとしても。
それは、なにも起きていない時間ではなく、見えないところで静かに「私」が整っている時間なのかもしれません。
ただ、一緒にいる時間。
ただ、そこに在る時間。
その中で、心はゆっくりと、自分の輪郭を取り戻していきます。
そして、本来の温かさを、少しずつ取り戻していくのです。



