心にも「輪郭」がある

― 誰かの期待を脱ぎ捨てて、自分に戻っていく時間 ―

自分の本音が、見えにくくなっていませんか。

優しい人ほど、相手の期待に応えようとして、自分の気持ちを後回しにしてしまうことがあります。

「あの人がこう言うから」
「こうして欲しいのだろうな」

そうやって周りの声に合わせているうちに、

「自分が本当はどう感じているのか」
「 何が好きで、何が苦手なのか」

自分のことが分からなくなってしまうのです。

まるで、自分の輪郭がぼやけているような感覚。

でもそれは、誰かのために一生懸命生きてきた、優しさの裏返しかもしれません。

「違和感」は、自分に戻る入り口

先日、ある方とお話をしていたときのことです。

その方はこれまで、「自分はどうしたいか」よりも、

「相手がどう感じるか」
「どう振る舞えば喜んでもらえるか」を大切にして生きてこられました。

迷ったときは誰かのアドバイスを求め、その通りにできない自分を責めてしまうこともあったそうです。

けれど、自分の心と向き合う時間を重ねる中で、あるとき、こんな言葉を口にされました。

「それは、私には違う気がするんです。」
「私は、こう思うんです。」

強い言葉ではありません。
誰かを否定するものでもありません。

でもそこには、これまで飲み込んできた、その方自身の大切な思いがありました。

輪郭が戻ってくる瞬間

その言葉を聞いたとき、私は胸があたたかくなりました。

ずっと誰かに合わせて、曖昧になっていたその方の輪郭が、はっきりしてきたように感じられたからです。

心の変化は、劇的なものではありません。

小さな違和感を大切にすること。
「私はこう思う」と、静かに確かめること。

その積み重ねのなかで、自分の輪郭は、はっきりしていきます。

誰かの期待と違うことを選ぶのは、勇気のいることです。

けれど、少し距離を置くことや、アドバイス通りにしないことを選ぶのは、決して悪いことではありません。

それは、「誰かのために生きる自分」から、「自分の気持ちを大切に生きる自分」へ戻っていくプロセスでもあるからです。

あなたは、あなたのままでいい

心が整っていくとき、これまでの関係に小さな違和感を感じることがあります。

寂しさが生まれることもあるかもしれません。

でもそれは、あなたがあなたでいようとしている自然な変化です。

不格好でもいい。
誰かの期待通りでなくてもいい。

「私はこう思う」と感じたその感覚を、どうか大切にしてください。

焦らなくて大丈夫。
あなたの輪郭は、あなたの中にちゃんとあります。