自分にやさしくすると、ダメになる気がするとき
― やさしさは、甘やかしではなく、変わる力を取り戻す土台 ―
やさしくした方がいい。
自分を大切にした方がいい。
頭ではそう分かっているのに、いざ自分にやさしくしようとすると、どこか心に抵抗を感じる。
やさしくしたいのに、自分を甘やかすような気がしてできない…。

そんな経験はないでしょうか。
人にはかけられるやさしい言葉が、自分には言ってあげられない。
それどころか、自分にやさしくすることに、かすかな怖さを感じることさえあります。
この怖さの奥には、いくつかの思い込みが隠れています。
今日はそれを、ひとつずつ見ていきます。
やさしさが怖いのは、厳しさで踏ん張ってきたから
自分にやさしくするのが怖いのは、やさしさが足りないからではありません。
むしろ反対で、これまで自分に厳しくすることで、なんとか立っていられた時間があったからです。
ちゃんとしなければ。
気を抜けば崩れてしまう。
そう思って、自分を律してきた。
その厳しさは、いいかげんさから生まれたものではなく、まじめに生きようとしてきたからこそ身についたものです。
厳しさが支えになっていると、それを手放すのは、土台ごとぐらつくように感じます。
そのぶん、やさしさが怖くなる。
けれど、その怖さの正体をひとつずつ見ていくと、少し違う景色が見えてきます。
受け入れたら、成長が止まる気がする
ひとつ目の思い込みは、
「自分を受け入れたら、そこで止まってしまう」
というものです。
今のままでいいと思った瞬間、前に進めなくなってしまうのではないか。
変わりたい気持ちまで消えてしまうのではないか。
そんな不安が浮かびます。
けれど、立ち止まって足元を確かめることと、歩みを止めることは違います。
どこでつまずいたのかが見えると、次の一歩はかえって軽くなる。
受け入れるとは、できていない自分も含めて、「いまはこういう自分なんだ」と、責めずに認めることです。
そこから変わるための力が戻り始めます。

むしろ、止まれないまま走り続けているときほど、人は同じ場所をぐるぐると回ってしまうものです。
頑張っても満たされない感覚については、以下の記事で詳しく書いています。
やさしくしたら、反省しなくなる気がする
ふたつ目は、
「やさしくしたら、反省しなくなる」
という思い込みです。
自分に甘くしたら、また同じ失敗を繰り返してしまう。
だから厳しくしていないと不安になる。
けれど、責めることと、振り返ることは、別のものです。
「私はダメだ」で止まってしまうと、人は動けなくなります。
「次はどうしよう」と進めると、変えていける。
責めなくても、振り返ることはできます。
自分を責めることと、自分を理解することは、まったく違う方向を向いています。
嫌な自分まで、認めるのが怖い
三つ目は、いちばん大きな怖さかもしれません。
嫉妬してしまう自分。
怒ってしまう自分。
人と比べて落ち込む自分。
そんな自分まで認めるなんてできない、と感じる方もいると思います
自己受容とは、どんな感情にも、いい・悪いというジャッジをせず、そのまま認めて受け入れることです。
嫉妬も、怒りも、惨めさも、本来そこに良いも悪いもありません。
ただ、湧いてきた気持ちが、いまそこにある。
だから認めるとは、そんな気持ちを持った自分も、いていい——と、その気持ちに丸をつけてあげることです。
認めたくない気持ちほど、私たちは打ち消そうとします。
「こんなふうに思うなんて」と、感じた自分まで責めてしまう。
けれど、その気持ちに丸をつけられたとき、心は少しほっとします。
ひとつだけ添えておきたいのは、丸をつけるのは、そう感じたこと自体に対してであって、その感情のまま誰かにぶつけることとは別だということです。
むしろ、感じてもいいと許せたときほど、その気持ちに振り回されにくくなります。
反対に、見ないようにした感情は、消えてはくれません。
気づかないうちに、相手への言い方が少しきつくなったり、その人と会うのをなんとなく避けてしまったりと、裏側から私たちを動かしてくることもあります。
嫌な気持ちにどう寄り添っていくかは、こちらでお話ししています。
やさしさは、甘やかしではなく、土台
こうして見ていくと、自分にやさしくすることは、甘やかすこととは違うと分かってきます。
甘やかしは、向き合うことから離れていく方向です。
やさしさは、向き合えるように、握りしめてきた手をゆるめる方向です。
自分を責めることに使ってきた力を、自分を理解する力に少しずつ戻していく。
すると、自己否定で消耗していた力が、次を選ぶ力として戻り始めます。
やさしさは、変わる力を失わせるものではなく、変わるための土台です。
ゆるめても、あなたは崩れません。

おわりに
とはいえ、長いあいだ自分に厳しくしてきた人ほど、やさしさへの切り替えは、一日では進みません。
頭で分かっても、心がこわばる。
それは自然なことです。
\自分のどんなところで厳しさが出やすいのかを知りたい方へ/
公式LINE「こころ日和🌿」でお渡ししている
『心のクセがわかる5つのタイプ診断』を参考にしてみてください。
責めるためではなく、これまでの頑張り方や守り方を知るための、3分ほどのセルフチェックです。
そして、ひとりで整理しきれないときは、個別相談のページに、心が少し立ち止まれる場所を用意しています。
うまく言葉にできない日に、そっとのぞいてみてくださいね🌿
『こころ日和🌿』について
月に3回(10・20・30日)、 季節の移ろいとともに 「自分に還るための言葉」を LINEでお届けしています。
登録はこちら⇨『こころ日和🌿』を受け取る


